◆ピクゥエ☆塩島敏彦の世界
Miniatureミニアチュールが完成☆
7月にオーダー頂いたミニチュールが完成しました。
特殊な染料でブルーに染色した薄い銅板の上(わずか数センチのスペース)に象牙に極最彫刻する技術は、塩島作品の中でも最高峰だと思います。
今回は特別に花々をミニアチュール用にデザインして頂きオーダー頂きました。生き生きとした花束が本当に美しいです。
サイズは35㎜×25㎜とコンパクトサイズで、ペンダントやブローチに使用いただけますよ。
◆Miniatureミニアチュールとは
銅板や象牙の薄い板に、水彩やエナメルで細密画を描き、水晶を研磨したレンズを使い封印することで拡大してみせるミニアチュール。
名称は、古代ローマ時代に使われていた朱色の顔料ミニウム(minium)に由来するといわれます。
◆ミニアチュールの歴史は
ミニアチュールは、15世紀の初頭にフランドルのリンブルグ出身のランブール兄弟によって確立され、その後ヴィクトリア時代にスイスエナメルやローマンモザイクなどによるミニアチュールが流行しました。
18世紀、ヴィクトリア時代のミニアチュール以来、途絶えていた技法を復活させたのが塩島敏彦です。
塩島敏彦のミニアチュールは、象牙の細密彫刻(マイクロカーヴィング)をした花束や、庭などのモチーフを、表面に特殊な彩色を施した象牙の薄い板にはります。その上から磨きだした水晶(レンズ状のもの)をかぶせ、リングやペンダントブローチにしたものです。
そして、このレンズ効果により、縦軸にも横軸にも奥行きのある空間を作り出しております。
この空間をルーペで覗くと、肉眼では見えませんが動物の表情や木の葉の一枚一枚までに生き生きとした表現となっております。
塩島敏彦
1954年、山梨県甲府市に生まれる。
父は日本で唯一の象嵌作家である塩島東峰。幼い頃より、父の象嵌制作を近くで見る中、様々な技術に触れる。
中学、高校と地元で育ち、1973年玉川大学農学部に入学。
大学3年の時に、カリフォルニアに派遣留学生として渡米。ある暑い夏の日に、取り残したオレンジを食べた時、「何でこんなに複雑で美味しいものができるのだろう?」という思いから、自然がモノを作るプロセスに感動。モノづくりの道への関心を高める。
帰国後、父の元で修行を始め、象嵌技術を修得。
1983年、ある日見たアンティークジュエリーの文献で幻の宝飾品ピクウェに出会う。
その中で誰にも再現出来ない幻の技法であることを知り、自分が受け継ぐ特殊象嵌の技法を使っているのではないかと推測。すぐさま単身で現物を手に入れるためにイギリスに渡る。
ロンドンのアンティークマーケットでは数多くの書籍とアンティークのピクウェを買い込み、製品を徹底的に解体することでその技術を研究。
その技術に、特殊象嵌が用いられている事がわかり、3年の歳月を経て技法を確立する。
後に、宝飾史家である山口遼氏曰く、「私の知る限り、ピクゥエを復元しようという試みは世界中で全くない」との言葉にあるように、世界で唯一の「pique(ピクゥエ)作家」となる。
1988年には日本象牙工芸展において東京都知事賞を受賞。