宝石の品質
アクアマリンのお話♪
ドビッシーの「海の夜明けから正午まで」「波のたわむれ」、
そして「風と海の対話」の三つの交響曲的スケッチはみごとに海を表現している。
細やかな音色の変化とともに、わずかに移り変わる海の色が目に浮かぶようだ。
浅いサファイアブルー、そしてエメラルドグリーンの海というように。
そして、透き通ったアクアマリンブルーの海が見えてきた。
アクアは水、マリンは海を意味し、アクアマリンはまさに海を代表する宝石の一つだ。
海はどこまで続くのだろう。海水はなぜ塩辛いのだろう。
それは子供のころの素朴な疑問。特に思ったのは、この膨大な水量
をたたえる海はどうして出来たのだろう…
高温濃厚な原子大気が凝結して生じたという説もあるが、最近では地球内部から浸出してきたとされている。
すなわち、地殻内の高圧化に解けた岩石が結晶化する時、多量の水分がとり残され、
その水分が地表に噴出して海は出来たという。
少し乱暴な言い方をすると、宝石の結晶化の課程で、海は作られたとも言えそうだ。
地球創世記、アクアマリンは海を作る手助けをしていた。
うららかな春の陽光を浴びて、水面はキラキラとまぶしく輝く、そんな春のある日。
人魚がおしゃれを楽しもうと宝石箱を開けると、一粒の宝石がこぼれ落ちてしまう。
折からの波にさらわれ、さ迷い、とうとうとある砂浜に打ち上げられた。
その宝石とはもちろんアクアマリン、人魚伝説だ。
真っ白な砂上に輝くアクアマリンを想像するだけで美しい。
そんな砂浜を捜し求めて入った図書館で一冊の本が目にとまった。
スティーブドム著、ウォルーターデイアス撮影の「サンゴ礁の世界」という珠玉の本だ。
そこには、世界最大のサンゴ礁、オーストラリアのグレートバリアリーフが広がっていた。
目の覚めるアクアマリンブルーとはまさにこの海、人魚伝説に相応しい。
ご存知だろうか、サンゴにブラックライトを照射すると青白の蛍光色を示すことを。
想像するだけでワクワクしてしまうが、南の太陽の強い紫外線を受けて、
グレートバリアリーフ全領域は、大光量の青白蛍光色に包まれている。
海全体がアクアマリンブルーに輝くのは当然だ。
サンゴが生息する澄んだ海こそアクアマリンブルーであり、アクアマリンブルーの海にサンゴが生息する。
ともにきってもきれない海にちなんだ、3月の誕生石であることはいうまでもない。
ジャパン ジュエリー ビジネス スクール
校 長 畠 健 一
エヴァンジュエリスト